佐藤先生の2015阿蘇カルデラ・スーパーマラソン完走記
 2015年6月6日(土)午前4時、南阿蘇村(旧:長陽村)総合福祉温泉センター「ヴィナス」集合。トイレは長蛇の列だ。数年前に比べると選手は1.5倍に増え、ウルトラマラソンの人気を感ずる。
 午前5時、1400名近いランナーが一斉にスタート。曇り空で、気温12℃、少し肌寒い。
スタート直後から300mほどが登りだが、その後木立の中を長い緩やかな下り坂が続く。10㎞のエイドでは早くも久木野そばを食べている連中。高森町辺りまでほぼ平坦な道が続き、1km当り5分半から6分半で進む。


 21㎞に最初の関門(ゴールも含め全9か所)。スタートから2時間45分後。関門は、キロ8分のペースで設けているようだ。
 22㎞辺りからつづらの急坂が出現、2.5㎞で400mの標高差を一気に登る。もちろん、歩きだ。峠を過ぎてホット一安心、まず、難関の1つを突破した。T.CチャンとT.Yさん(福岡からS.Sの為に応援に来てくれたランナー仲間)にメールを送る。7時45分、快調だ。

 上り下りが周期的に表れる。「ざっといかんばい」を思えば、何のことない。
遠くからカッコウの鳴き声が聞こえる。最近減ってこの辺りでも珍しいと言う。涼しいせいか筋肉痛がでない。今までにない絶好調だ。
 エイドは2.5㎞毎に水があり、5㎞毎にバナナ・梅干し、スポーツドリンク、水、お茶、飴玉、10㎞毎にパンやおにぎり、スイカもある。至せり尽せりだ。参加費14,000円は安い。
 フル(42.195km)を通過4時間55分、43分近い貯金に満足。 ここから、例年通り苦しい道のりが続く。
エネルギー切れのようだ。頭もボーとして来て、熱中症の症候も見られる。とにかく、ここは我慢するしかない。必死に歯を食いしばって進む。
 波野支所(50.8km)に到着。まず、座って、おにぎりとそばを食べる。「回復する」、「回復する」と何度も呪文を唱える。ランドリーの仲間の顔が目に浮かぶ。30分近く休んだのかもしれない。妻とT.Yさんにメールを打つ。「無事に中間地点通過した・・」  気が付いたら荷物預け場にいた。係りの人が手を差し出したので、無意識に渡してしまった。
「あれ、もうリタイヤできないよな」、トイレに寄り関門締め切り10分前に出発。


 だらだら登りが続く、我慢して歩く。子供たちの応援が嬉しい。背中を押してくれる。ハイタッチをしてくれないと泣く子供もいる。
 不思議だ。幼稚園児とハイタッチをしたらいつも間にか走れるようになった。スピードはキロ7分位に落ちたが、身体はまだ動いている。用心の為コカコーラを自販機で買って一口飲む。ゲップが出たらさらにパワーアップを感じた。
60㎞のエイドではスイカ食べ放題。身体が喜んでいる。

 後半は、思いのほか調子が良い。最近ここ10年では、こんなに調子が良いのは初めてかな。
とにかく、筋肉痛が出ない。4月に佐賀さくら(フル)、金立山往復(10㎞)、5月に闘魂ランナーズ試走会(50㎞)、脊振・金山トレイルラン(17㎞)が効果的だったのかもしれない。誘ってくれたF.Tさん、F.Kさんに感謝。
 後半最大の難所は84㎞の関門だ。その前に75~80㎞までの合戦群(かしのむれ)の急坂がある。ここには旧石器時代の遺跡群があると言う。ここを頑張って克服する必要がある。苦しい時は神頼み。時計を見るとまだ10分の余裕がある。行ける、行けると自分に言い聞かす。関門のすぐ手前にT.Yさんを発見。思わず大声を出した。
 「T.Yさん、ありがとう。貴殿のお蔭でここまで来れたよ!」2人とも思わず涙ぐむ。

 残り15㎞とは言え締め切り時間に追われる厳しさは変わらない。特に、象ヶ鼻では4㎞で300mを下る。例年ならここを後ろ向きで歩きたくなるくらい大腿四頭筋が泣く。今年は不思議にも、まっすぐ向いて走れる。ゆっくりだが走れる。嬉しい。
 92㎞の関門も10分前に通過。ここからの8kmも気を抜けない。ほとんどエネルギーを使い尽くした感じだ。10m歩いて100m走る戦法をとる。
 おまけにトイレに行きたくなった。一昨年もゴール2㎞手前の公園のトイレに駆け込んだ。時計を確かめ、和式トイレにしゃがむ。大腿四頭筋も大腿二頭筋も悲鳴を上げている。ただ、大会が用意した貸しトイレと違って前・左に手すりが付いているのが嬉しい。股ずれ(尻の穴ずれが適切)で、ペーパーで拭いても拭いても残糞感があり、気持ち悪い。いつまでもここに留まる訳にはいかない。
 コースに戻る。とにかく前に進む。沿道から拍手が響く。まだ間に合うよとの声援が聞こえる。ゴール500m手前で福岡チーム100のE.Yさんに会う。「S.S先生、よう、こんな時間に合わせて来るわ、信じれん」と拍手。
 ゴール。13時間25分52秒、100㎞男子総合796位、100㎞男子60歳以上77位。

 トイレに駆け込み、水でぬらしたペーパーでお尻をぬぐう。
 19時発のバスでスタート地点(約20㎞先)に向かう。バスの中でF.Tさんへメールを打つ。「ありがとうございます。おかげで時間内完走しました。S.S」
 F.Tさん、F.Mさん、E.Mさん、O.Yさん、T.Tさん、T.Cさん、T.Aさん、M.Aさん、I.Nさん、M.Kさんらから次々と祝福のメールが届く。返信不要との暖かい心遣いに感謝。
 宿泊先のペンションでは赤牛のステーキが出たが、ため息が出るだけ。


 
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