レポート 橋本 尚子 |
3月のさが桜マラソンでシーズン終了とともに走る意欲が湧かなくなる頃、夏に唯一開催されるフルマラソンとして名高い北海道マラソンの申し込みが例年始まる。
桜マラソン同様、先着かつ人気大会であるためエントリーには気合が必要だ。
4/2、18:00前にスマホとにらめっこしながら、その時をじっと待つ。
待つこと数分、意外にもポチポチと順調に「0次関門」無事に突破できた♪♪
こうして8月27日に向けて走らざるを得なくなってしまった♪♪
ホテルや飛行機の手配が順調に進み、安堵している一方で、まだまだ涼しいはずの4月5月の春先には、まだ大会が先のことのように思え気合が入らず、全然練習をこなすことができなかった。しかし,私にはこの大会に関する忌まわしい過去がある。
それは2年前に初めて出場した北海道マラソンで練習不足と暑さにやられて夏のマラソンの恐ろしさを痛いほど経験したのだ。
『そうだった,北海道の夏はかなり暑いのだ。』
この今の状態はかなりヤバいと思い、6月、7月距離だけはこなそうと少しずつ走り始めた。経験上、夏のレースなので「無理はしない」「楽しむ」と思ってはいたし、周りにもそのように口にしていたが、内心…
「4時間切れたらすごいなぁー♪」
とひそかに期待をしていた。
そのために夏の暑い時期にこそ、暑さに慣れるための練習が必要だと頭では理解していても、暑いものは暑く、8月に入ってからも思い描くシーズン中のような練習はできなかった。
気がつけば、あっという間に大会前々日の金曜日を迎え、慌ただしく飛行機に乗り込んだ。
新千歳空港には午後10時過ぎに到着して、空港近くのホテルにすぐさまチェックインした。
混雑ぶりは想像以上で、疲労感を多少なりとも感じていたものの、やはりここは北海道である。
ホテルに行くまでの道すがら、チェックしておいた朝3時まで営業しているお店で北海道ならではの酒の肴とお酒を楽しんだ。
翌日、ゆっくりと目覚めた。
その後、早速観光や北海道の天候の確認を兼ねて千歳の街を散策して、ランチは予め探しておいた回転寿しで舌鼓を打った。
さすが北海道、お手頃なのにネタが大きくおいしかった.
その後,電車で札幌に向かい、会場近くのホテルにチェックイン後受付会場にむかった。
会場は広いが、大会の規模の割にイベント会場はこじんまりとしていて、この大会の本質を垣間見るようであった。
夜ご飯は早めに済まそうと午後5時過ぎに動き出し、本場のスープカレーをチョイスした。
さらっとしているが具が大きく、量も多いためお腹が一杯になった。
ちょっと周りを散歩して明日の朝食を調達しながらホテルに帰り、明日に備え、午後8時過ぎ早めに就寝した。
大会当日、午前5時頃に起床して、ゆっくりと準備をしながら、おにぎり2個と前日受付会場でいただいた豆ホイップパンを食べて、余裕を持って午前7時50分頃チェックアウトした。
「さあ会場へ。」
他の市民マラソン大会とは異なり、短パン、タンクトップを身につけ、日焼けした人が多く、仮装の人はほとんど見かけなかった。
お祭り気分は一切なく、ちょっとピリピリしているように感じた。
整列制限時間のスタート20分前、この時点で気温24℃まで上昇していた。
「この気温はここ数年で最も暑い。」
と周りが口にするのが聞こえて、不安でいっぱいだった。
気になったのは、私が出場した他のマラソン大会では、選手の整列時間が正確に決められ、横入りできないように管理されていて時間外にきた選手たちは最後尾に回されるのだが、この大会は緩かったことだ。
そうこうしていると、有名な大通公園にあるテレビ塔の電光掲示板の時計がスタート60秒前からカウントダウンの表示になり、DJの軽妙なトークとともに10秒前からランナーが手を叩き盛り上がり始めた。
「5,4,3,2,1,バン!」
時計をピッと押してスタートした。
最初の5kmはスローペースで入ったものの。早くも汗が流れ始めた。
体感的には暑さを感じなかったが。気を抜くとすぐにいつもよりキロ10秒くらい遅くなっていた。
長いトンネルを進み10km通過時点で,
「これは記録は狙えない!!ロング走ロング走」
と練習のつもりで走ろうと気持ちを切り替えた。
平坦で走りやすいのだが、とにかく何もないまっすぐの道路をひたすら走るというのは苦痛である。
ただ途切れない沿道の応援はうれしかった.
17~18km地点で、26km地点の折り返しを過ぎて戻って来ている高速ランナー達とすれ違い始めた。
北海道マラソンは上で述べたように、長い直線道路を走るのが特徴なのだが、単調ではあるもののすれ違うランナーを見て勇気付けられたり、知り合いを探したりできるので結構気が紛れるように私は感じる。
「がんばれー!」
と応援しながら、
「お前も頑張れよ!」
と自分にも言い聞かせた。
すれ違うランナーの中でわかったのは藤原新さんくらいだった。
「みんな速いなぁー、すごーい。」
と思いながら走っていた。
このときハーフを通過した。2時間1分だった。
同じペースで淡々と走っていたせいか、この時点ではキツさを感じなかった。
そんな時、すれ違うランナーの中からよく知っているTを発見した。
「もう少しで折り返しだよ。」
と声をかけてくれた♪♪
「おぉー」
と思ったのに、完全に騙された。
折り返しまではかなり遠くて、全然もうすぐじゃなかった。
26kmで折り返して、すぐMさんを見かけた。
声をかけようと思ったが、ちょっと距離があったので、心の中で応援した。
その後、Iさんを発見できたことがうれしくて思わず、
「Iさん、がんばれー!」
と叫ぶと、Iさんも答えてくれて、元気をもらえた
しかし、それからは知り合いもいない上に、折り返してから追い風になり直射日光のため暑さが増し、エイドで歩いては走り出すというのを繰り返すうちに時間がかかり、31km以降は一定のリズムで走ることができなくなっていた。
この時点でかなり暑く、いつも以上に足に疲労を感じていた。
「もうだめだー」
と弱気になっては、
「まだまだあきらめないぞ。」
という感情が交互に到来するのをやり過ごし、沿道の応援を感じながら一歩一歩走り続けたものの、
38km 6:05
39km 6:04
40km 6:15
と落ち込んでいった.
「このままでは終わりたくない」
との思いで時計を覗き込むと、この時点で3時間52分くらいだった。
「何とかネットで4時間切れないかな?」
と、ふっと頭をよぎり、無理とはわかっていてもせっかくの北海道、悔いのない走りをしたいと強く思い始めた。
なんとか残りの力を振り絞ってラストスパートだ。
41km 5:18
42km 5:12
大通公園に帰って来て、ゴールまで最後の直線道路にはたくさんの観客が大きな声援でランナー達を出迎えてくれている。
この声援に感激しながら走り終えた.
「やりきったー!!」
ゴール後、タオル、メダル、水をもらい、完走証をもらう所まで長い距離を歩かされる。
福岡マラソンのKさんのレポートにあったように、私も含めみんなゾンビのように足を引きずりつつ歩き続けた。
とにかく長いのだ。
42キロ走った足にはほんの100mがおそろしく辛い。
あまりのつらさに、途中少し座って休むものの、やはりタイムが気になり歩き続け、やっと完走証を手にした。
ネットタイム4時間1分32秒だった。
「あー、やっぱりなあ。(≧∀≦)」
と思ったけど、満足のいくタイムだった。
2年前、苦しいだけの大会で二度と出ないと決めていたのに、今回もきつかったものの景色や沿道を楽しめたことで、相当自信がついた良いレースになった。
しかも、このような大会のコースの至る所で撮影される写真には、今まで大抵つらそうな顔しか写っていなかったが、今回は笑顔をたくさん写してもらえたような気がする♪♪
最後に、夏の大会は準備をしっかりしないとごまかしがきかないこと、しっかり準備をすれば結果も出るし、秋からのシーズンに向けて大きな自信になることを再認識した。
また機会があれば、チャレンジしたいかも。