レポート 多良千加子


11月6日『下関海響マラソン』に初参加した。
あの濃い1泊2日をこの場を借りて振り返ろうと思う。
(写真はランフォト頼みで撮ってなくて1枚のみです。それも走っている写真ではありませんが…)


 仕事を終えて下関へ向かう。
下関マラソンは事前にゼッケン等送付してくれるので受付時間を気にする必要がない。
移動の電車の中でお弁当を食べ、駅に到着したのは21時頃だった。
明日の朝ごはん購入で、スーパーやコンビニをはしごするもおにぎりは売り切れ。
一緒に大会にエントリーした3人が待つホテルへ向かう。
ホテルの隣にコンビニがあるとのこと。
おにぎりがあることを祈りながらバスに乗る。途中、大きな観覧車がライトアップされていてすごくきれいだった。テンションあがる。
ただ、ホテル隣のコンビニでもおにぎりは売り切れ。お弁当を買ってホテルへ向かった。


当日は5時起床としたが、4時位に目が覚め、それからは寝て起きてを繰り返す。
結局眠れず起きて準備に取り掛かる。それからの時間はあっという間だ。
準備・朝ごはんを食べて6時20分にホテルを出発。
スタート地点の海峡メッセ下関に向かって歩く。ホテルから会場まで約900m。夜明けの空と景色をゆっくり眺める。
リラックスして会場に向かった。
会場に到着。人の多さにも驚いたがすぐそばの近代的な海峡ゆめタワーにも驚いた。観光出来ればのぼったのに…(多分)。
夢タワー

貴重品を預け、7時30分よりブロック入場開始。
全力を尽くそうと気合を入れて各ブロックへ整列した。私はBブロックの先頭目指して並ぶ。
A夫婦がペースランナーを兼ねて一緒に走ってくれるのだ。
ただ、A夫婦はS、私はBブロックと異なり、追い付けるかどうか不安だった。
緊張しながら整列していると、8時15分頃に風船をつけたランナーが近くにやってきた。4時間のペースランナーだった。これはチャンスだ。
話を聞くと、「最初の20kmは5分20~25ペース、残り20キロはちょっとペース落としていきます。」と力強い言葉。「ついていきます!!」
 
開会式。
気温も寒くなく、むしろ暑いくらい。そう思っていると、道下さんの「リオよりは暑くありません。」という言葉を聞いて確かにと思った。単純だけど、暑くても頑張れそうな気がした。
スタートまで隣近所のランナーと話をしながら号砲を待つ。
大会に参加すると、見知らぬ人にも話かけたりかけられたり出来るので不思議だ。いつもは話しかけるのに緊張するのに。

8時30分号砲。
私は1分18秒ほど遅れてスタートする。目指すはペースランナーの風船。
と、風船はだんだんペースを上げる。どうやら最初の遅れを取り戻すべく急いでいる様だ。しかも、風船の周りは大集団。走るスペースが狭く振る手が当たる。
ペースアップに心拍も上がって、気温も高く汗が止まらない。給水後もペースは一定せず。10kmはただ風船を追いかける一心だった。しかも道路も凹凸が多く、時々足を取られたりした。「あ、猫ひろし!」集団の誰かが言った。姿は見えなかったが「にゃー」だけ聞こえた。見たかった。
関門橋の真下を通りすぎた約12kmあたりからだろうか。段々と一定ペースになった。
この頃からようやく景色にも気を配る事が出来るようになる。ただ、大集団は続き、まだ走りにくい。

14kmすぎの「あるかぽーと」辺りの折り返しを走っているとA夫妻発見。追い付くまでにまだ距離があったので、やはりこのままペースランナーについていこう。沿道の応援に力をもらいつつ先を急ぐ。

20kmを過ぎ、「彦島トンネル」に入る。「暗い…あ、サングラスだった」と慌てて外すがそれでも暗い。隣を走っている人に話しかけてみた。
「結構長くて暗いトンネルですね」
「はい。あ、初参加ですか。このトンネル抜けたらアップダウンですよ」
トンネルを抜ける。最初の上り坂キター。

22kmの彦島大橋だ。左側には美しい響灘の景色。見るだけで元気が出る。
この頃から、集団から抜け出したくなり、下りで一気に風船を追い越した。
解放感。
広い道に楽しみつつ進んでいった。そのまま幾らかのアップダウンを走る。途中道下さんを見かけた。
橋が見えてきた。

27kmの長州出島大橋。この頃から確実に足が重くなってくる。
スタート前に話していたランナーより「ゼリーとかそうめんが出るよ。」と聞いていたが、ここで発見。
ただ食べる元気はなく、スポーツドリンクを飲んで通り過ぎる。水分はたくさん入るから不思議だ。ここからは来た道を戻る。また長い戦いが始まると気持ちが沈む。
そんな中、前を向くと、緑色のTシャツと気球マークが目に入る。
A夫妻だ。追いついた。気持ちが沈んでいた分嬉しかった。
そこからは3人で上る。A旦那さんは冷静にペースを見つつ、色々と励ましてくれた。
A奥さんと私はアップダウンの度に話されたり追い付いたりを繰り返しながら一歩一歩足を前に踏み出すのみだった。
負けそうになれば沿道の応援に背中を押され、帰りは右手側に見える響灘の景色を眺め、出来るだけ足の重さを考えない様に36kmを走り終えた。

A旦那さん:「あと6kmそんな距離ないよ。頑張って」
私:「……」(無視じゃないです。返事出来なかったんです。)
きっと厳しい顔をしていたと思う。ただ、黙々と一歩ずつ進んでいた。
3km。「まだ3km…」
2km。「えーまだ2kmもある。」
1km。「距離こんなに長かった?ゴール見えない。」
ようやく角を曲がりスタートした海峡メッセが見える。
三人で両手上げてゴールした。3時間58分。

目標達成と充実感と感動でいっぱいだった。
最後まで引っ張ってくれたA旦那さん、一緒に懸命に走り切ったA奥さんには感謝してもしきれない。あの時あそこで出会わなかったら私は途中で脱落していただろう。この場を借りて御礼を言いたい。

完走してからは足の痙攣が始まり一時動けなかった。
しっかり休憩し、参加者に振る舞われる「ふぐ鍋」や「ヨーグルト」を味わい、色々ともらって退散。
着替えてBさん、Cさん、Dさんを待つ。
大会には一人一人ドラマがある。ゴールするランナーはみな晴々とした表情をしていた。
その後は戻ってきた3人と一緒に大会を振り返りながらホテルへ歩いて戻った。
ホテルへ向かいながら、今日の大会を振り返る。皆も一人一人ドラマがある。話したり聞いたりが楽しく足は限界のはずなのに、大丈夫だった。
皆と一緒に参加して良かったと思った。ホテルで荷物を受け取り、下関駅へ向かい、電車を乗り継いで佐賀への帰路に。
ただ、佐賀への特急では、満員電車。さすがに4人とも疲れ果てていて揺られながら到着を待った。

「下関海峡マラソン」は決して平坦なコースじゃない。
けれどコースが大変な分、美しい景色だったり、沿道の応援だったりすごく力をもらった。「記録より、記憶に残る、海響のドラマ」このフレーズ当たっているかも。
もし機会があれば、皆さんも参加してみてはいかがだろうか。
大丈夫。コースは大変だけど、ざっといかんばいの坂よりは楽に登れます。

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2016-11-15